
中性脂肪を下げる対策とは
年を重ねると気になってくるお腹周りのお肉…。血液検査をすれば中性脂肪やコレステロール値が高いと言われて、「若い頃はこんなこと無かったのになぁ…」って思わずため息が出ちゃう人も少なくないはず。
ところで、『中性脂肪』ってどんなものだか知っていますか?なんか良くない物…というイメージが強いですが、実は体にとって無くてはならないものなんです。
簡単に言うと、中性脂肪とは備蓄エネルギー。食べ物から摂って使われなかった脂質や糖質を、内臓脂肪や皮下脂肪に蓄えてエネルギー切れに備えています。数日食べなくても命をつなげるのは、この中性脂肪のおかげというわけです。
中性脂肪は他にも、体温の維持や外からの衝撃から身を守る役割も持っています。実は私は一時期激やせした事があったのですが、その時は夏でも寒くて仕方なく、買い物途中で何か食べないとエネルギー切れで動けなかったのを覚えています。
じゃあ何で悪者になってるの?といいますと、多すぎる中性脂肪は血液をドロドロにし、動脈硬化や高血圧・脳梗塞や心筋梗塞といった命にかかわる病気のリスクを上げているからです。
成長期が終わり、若い時ほど活動的ではなくなったのに、若い時と同じ食生活では中性脂肪は消費されず溜まる一方…。「中性脂肪が高い」と言われたら、きちんと対策を練る必要があります。
脂肪が多く含まれる食品を避け、下げやすい食品を摂る
サーロインステーキや焼き肉のカルビってとっても美味しいですが、中性脂肪が気になる人は避けた方が良い食品です。動物性脂肪には、中性脂肪を上げるといわれる『飽和脂肪酸』がたくさん含まれているからです。
お肉を食べるなら脂肪の少ないヒレ肉などの赤身がおすすめ。飽和脂肪酸は魚卵や卵黄にも多く含まれているので、卵好きな人も食べすぎには注意が必要です。
中性脂肪が高い人に避けて欲しい脂肪はもう一つあります。マーガリンやショートニングなどに多く含まれる『トランス脂肪酸』です。
最近はバターが品薄でお値段も高くなっているので、マーガリンやショートニングは代わりとしてお菓子やスイーツに良く使われていますが、中性脂肪を下げるならば絶対に避けるべき。買う前に原材料を良く確認しましょう。
その一方で、中性脂肪が高い人に是非摂っていただきたい脂肪もあります。それは『不飽和脂肪酸』です。その中でも特に「オメガ3脂肪酸」は中性脂肪を下げて善玉コレステロールを増やし、血液をサラサラにして動脈硬化を防ぐというありがたい脂肪です。
有名なのは青魚に含まれるDHAやEPAですね。一時期流行った亜麻仁油やえごま油に含まれるα-リノレン酸もこれに入ります。オメガ3脂肪酸は体内では作れない必須脂肪酸ですが、魚離れが進んでいる日本人ではあまり摂れていないのが現状です。
中性脂肪を下げやすい食品としては、青魚の他にも食物繊維の多いキノコや海藻・ケルセチンの多い玉ねぎ・カテキンの多い緑茶や血液をサラサラにしてくれる納豆などもあります。
実はご飯やパンなどの糖質も、エネルギーとして使われなかった分は中性脂肪になってしまいますので、主食控えめで魚と野菜中心の食事が理想です。
アルコールを控える
食事は問題ないのに中性脂肪が高い…という人はアルコールの摂りすぎを疑ってみましょう。お酒をたくさん飲む人のなかでよく問題に上がる「脂肪肝」がありますが、これは肝臓に中性脂肪が30%以上溜まってしまった状態を言います。
肝臓はアルコールの分解だけでなく、脂肪の代謝にも大きなかかわりのある臓器です。使われなかった脂肪や糖質は、巡り巡って肝臓に送られ、そこでまた中性脂肪になり蓄えられます。肝臓では中性脂肪の元になる脂肪酸を作ったり分解したりしているのです。
アルコールを摂取すると、肝臓はアルコールを無毒化するため一所懸命に働きますが、その分脂肪酸の分解は滞り肝細胞には脂肪酸が溜まってしまいます。更にアルコールが分解される時には、脂肪酸が作られやすくなる物質も作られるため、中性脂肪が増えてしまうのです。
肝臓が弱ってしまうと中性脂肪のコントロールが出来なくなり、更に中性脂肪値を上げてしまいますから、アルコールを控えるということは中性脂肪を下げたい人にとって重要になるのです。
有酸素運動をする
中性脂肪を減らすためには、食事で摂った中性脂肪と体に溜まっている中性脂肪を、エネルギーとして使ってもらう必要があります。そのために必要なのが有酸素運動です。
有酸素運動とは、負荷が軽めで酸素をとりいれながら長い時間続けられる運動の事。身近なものでは、ジョギングやウォーキング・水泳やサイクリングなどが有酸素運動になります。
有酸素運動を始めると、まず血液中の糖質がエネルギーとして使われます。次に筋肉や肝臓などに蓄えられた糖質、そして血液中の中性脂肪と徐々に使われていきます。体に蓄えられた中性脂肪が分解されるのはその後になるので、よく「20分以上の有酸素運動」といわれるのです。
中性脂肪を下げるためには、1度の運動ではなく続けることが必要になってきます。1日30分以上の有酸素運動を毎日おこなうのが一番効果的ですが、毎日はちょっと無理…という人でも週に3回以上、運動する日の間を3日以上あけないようにしておこなえば高い効果が得られますよ。
食事は腹八分目で空腹を感じてから30分後に食事
いくら中性脂肪を下げる食品を取り入れて、下げやすい食事にしようと気を使っていたとしても、食べすぎてエネルギーの摂りすぎになってしまっては全く意味がありません。
食べすぎになりやすい早食いはやめて、ゆっくりと良く噛んで満腹感をうながし、腹八分目で抑えられるようにしましょう。
「腹八分に医者いらず」という言葉もあるように、腹八分目の食事は健康寿命を延ばし、更には老化を遅らせる可能性もあると注目されていますので、中性脂肪が下がった後でも続けていて損はありませんよ!

ご飯を食べるタイミングも、お腹が空いてすぐに食事…は中性脂肪を下げるチャンスを逃していることになります。
空腹を感じている時というのは、体の中にあったエネルギーがなくなって血糖値が下がってきている時です。脳が「エネルギーが切れそうだから食べて補給して!」と言っているわけです。
ここでグッと我慢すると、体はなくなった糖のかわりに、中性脂肪を分解してエネルギーを作ろうとするので、中性脂肪が下がることに繋がるのです。
お腹が空いたなぁ…と思ったら、中性脂肪の分解をうながすために30分以上時間をおいて食事をした方がお得ですよ。
中性脂肪やコレステロールを下げるのに役立つ食物繊維
食物繊維といえば、「便秘解消」が真っ先に思い浮かぶ人も多いと思いますが、先ほど中性脂肪を下げやすい食品として「食物繊維の多いキノコや海藻」が出てきたとおり、中性脂肪やコレステロールを下げるのにも役立つ栄養素です。
中性脂肪の残ったものが悪玉コレステロールを増やす
悪玉コレステロールは名前に「悪玉」なんて入っているので、いかにも悪いもののような感じがしますが、これも中性脂肪と同じく体にとってなくてはならないものの一つです。
コレステロールは私たちの体の大元である細胞の細胞膜を作ったり、女性ホルモンなどホルモンの原料になったり、脂肪を分解・吸収しやすくする胆汁酸を作ったりと必要不可欠な物質で、悪玉コレステロールと呼ばれる『LDLコレステロール』によって、肝臓から血液に乗って全身に運ばれています。
LDLコレステロールが何故「悪玉」と呼ばれるのかというと、これが血液の中に増えすぎてしまった場合、動脈の壁に入り込んだりくっついたりして動脈硬化を引き起こすからです。
逆に「善玉」と呼ばれるHDLコレステロールは、血管にくっついている悪玉コレステロールを引きはがして回収し、肝臓に戻す事で動脈硬化を防いでいるので、良いものとして「善玉」と呼ばれています。
中性脂肪とコレステロールは大きく関係していて、使われなかった中性脂肪が多くなり血液中の中性脂肪が増えると、善玉コレステロールが減り悪玉コレステロールが増えてしまうことがわかっています。
更に、中性脂肪が高くなり内臓脂肪が増えてしまうと、脂肪酸の燃焼・動脈硬化抑制・糖尿病の予防効果などがあり「超善玉」と呼ばれる『アディポネクチン』を減らし、「超悪玉」と呼ばれる悪玉コレステロールが小型化したものを増やしてしまうので、生活習慣病のリスクがより高くなります。
コレステロールや糖質を吸着し排出を促す食物繊維を摂る
中性脂肪やコレステロールを下げるためには、摂りすぎてしまった脂質や糖質を体に吸収させないようにすることも大切になってきます。そこで力を発揮するのが食物繊維です。
食物繊維というのは、消化も吸収もされません。腸に送り込まれた食物繊維は、そこでコレステロールや糖質・脂質を包み込み、一緒に便として体の外に出してくれる働きがあるのです。
1日の食物繊維を野菜で摂るには350g以上必要
1日に必要な食物繊維の量は、男性で20g以上・女性で18g以上とされていますが、かなり日頃の食事に気を配っている人でないと摂れていない事がほとんどです。
食物繊維は、水に溶けない「不溶性食物繊維」と水に溶けやすい「水溶性食物繊維」の2種類あって、不溶性2:水溶性1のバランスで摂るのが理想とされていますが、野菜に含まれる食物繊維は圧倒的に不溶性食物繊維の方が多く、水溶性食物は摂りにくくなっています。
例えばレタスをとりあげてみると、100gに不溶性食物繊維が1gあるのに対して水溶性食物繊維はたったの0.1gしかありません。
1日の野菜の摂取目安は緑黄色野菜120gを含めて350gとされていますが、選ぶ野菜によっては頑張って350g摂ったとしても、食物繊維は必要な量摂れていない可能性もあるのです。
中性脂肪を下げる飲み物は青汁がおすすめ
中性脂肪を下げる食事を考えるなら、食べ物だけじゃなく飲み物にも気を配りたいですよね?健康食品として有名な青汁は、中性脂肪に対しても嬉しい栄養素が満載なんです!
水溶性食物繊維で余分な中性脂肪をコレステロールに変えない
先ほど食物繊維の話が出てきましたが、中性脂肪を下げるために特に有効なのは水溶性食物繊維です。水溶性食物繊維は体の中に入るとゲル状に変わって、食べ物が胃から腸へと運ばれる動きを緩やかにします。
そうすると食べ物の消化・吸収も緩やかになり、血液の中に急激に糖があふれてしまうのを防ぐので、余ったブドウ糖が中性脂肪として蓄えられる…という働きを抑えてくれるのです。
そして腸では前に出てきたとおり、コレステロールや糖質・脂質を包み込み、体の外に出してくれるわけです。
更に体の外に出してくれる物質の中には、コレステロールから作られる「胆汁酸」も含まれているので、肝臓がなくなった分の胆汁酸を作るためにコレステロールも使ってくれるという、中性脂肪とコレステロールを下げるためには有りがたい栄養素なのです。
青汁の主な原材料として使われている野菜は、不溶性食物繊維と水溶性食物のバランスが良いものが多く、足りない分の水溶性食物を「難消化性デキストリン」として加えているものもあるので、中性脂肪を下げるために効果的なんです。
クロロフィルが善玉コレステロールを生み出し中性脂肪を減少
クロロフィルとは、学生の時に理科や生物で習った「葉緑素」の事で、天然の緑色の色素です。人の赤血球と分子構造が似ているので「緑の血液」とも呼ばれています。
クロロフィルが体の中に入ると、鉄と結び付いて赤血球やヘモグロビンの色素になります。そして血液の中にあるコレステロールを吸着するので、コレステロール値を下げて血液をサラサラにしてくれるのです。
血液がサラサラになり、血液中の脂質が正常になってくるということは、悪玉コレステロールが減って善玉コレステロールを増やすことに繋がってきます。
クロロフィルは、植物の中では丈夫な細胞壁に囲まれた状態で入っているので、その壁を壊さないとうまく摂取することが出来ませんが、青汁なら大丈夫!細かく砕かれ粉末や液体になっていますから、クロロフィルを余すところなく摂る事が出来ます。
バランスの取れた食事にプラスし、数か月飲んでみよう
青汁は中性脂肪を下げるためにオススメの飲み物ですが、これさえ飲んでいれば大丈夫というわけではなく、飲んですぐ効く万能薬…というものでもありません。
健康な体を作るには、健康的な食事が必要不可欠!効果的に中性脂肪を下げるには、やっぱりバランスのとれた食事は大切です。
青汁は薬ではないので、中性脂肪を下げる成分がたくさん入った野菜を簡単にプラス出来る…と考えてもらったほうが良いかもしれませんね。
溜まりに溜まった中性脂肪を減らして、中性脂肪値を下げるには、やはりそれなりの時間と努力が必要です。青汁も、すぐに効果が出ないからと止めてしまうのではなく、じっくり数カ月は飲んでみてください。
糖分やカフェインを含んだものがあるので成分に注意
青汁そのものは野菜の粉末ですので、基本的に糖質やカロリーは低いものですが、商品によっては飲みやすくするために、砂糖などの糖分やフルーツを加えているものもあります。
糖質は中性脂肪の元になるものですから、中性脂肪を下げるために飲んでいる青汁から糖質をとってしまっては意味がありません。購入する前に良く成分や原材料を確認しましょう。
カフェインは中性脂肪を下げる成分ですが、妊婦さんや自律神経失調症などの病気でで治療中の人にとっては気をつけたい成分でもあります。
原材料に緑茶や抹茶の粉末が入っている場合には、カフェインが含まれている可能性がありますので、避けた方が良いでしょう。
中性脂肪を下げるレシピ
中性脂肪を下げるためには、食生活の改善が最初の一歩です。だとすると、具体的にはどんなものを食べたら良いのでしょうか?
青魚や大豆類を摂り、糖質の多い野菜を避ける
下げやすい食品でも出てきた「青魚」は、やっぱり食べてほしい食材の代表です。青魚というのは、身近なところではイワシやさんま・サバなどの、背中の青い魚の事を言います。高級魚じゃないので買いやすいのはありがたいですよね!
青魚に含まれる『EPA(エイコサペンタエン酸)』には、中性脂肪を吸収されにくくして、体の中で中性脂肪が作られるのを抑えてくれる働きがあります。
『DHA(ドコサヘキサエン酸)』は脳にまで届く数少ない成分で、ストレスの緩和に効果があります。ストレスは中性脂肪を上げる原因になっていると指摘されていますので、EPAとDHAは是非摂って欲しい成分です。
EPAとDHAは、缶詰になっている青魚でも摂る事が出来ます!サバの水煮缶はお値段も安くて色々な料理にアレンジも出来るのでおすすめです。

もう一つ食事に取り入れて欲しいのが、大豆製品です。大豆たんぱく質には、コレステロールの排出をうながし中性脂肪を下げる効果があります。
たんぱく質には体の中では作れない必須アミノ酸も含まれていて、体を作る重要な栄養素ですが、たんぱく質を多く含むお肉や卵には飽和脂肪酸も多くカロリーも高くなりがちなので、中性脂肪も上げてしまいます。
そこで動物性脂肪の多いお肉などを減らし、お豆腐などの大豆製品を取り入れる事で、カロリーやコレステロールは減らしつつ、たんぱく質を摂る事が出来るのです。
野菜は食物繊維を摂るためにもぜひ食べていただきたいですが、ちょっと注意しなければならない事もあります。それは、野菜には糖質の多いものもあるということです。
有名どころではじゃがいも等の芋類ですね。他にもにんじんやごぼう等の根菜類や、かぼちゃ・とうもろこしも糖質が多い野菜です。トマトも「フルーツトマト」になると糖質が上がってしまいますので、種類にも気をつけて、糖質の多い野菜の摂りすぎは避けましょう。
無理なく続けられる食生活に見直しを
せっかく中性脂肪を下げる食生活にしたとしても、途中で続けられ無くなって元に戻ってしまったら、中性脂肪も逆戻りしてしまいます。
食事は毎日、生きている限りずっと必要な物ですから、無理なく続けられるかどうかは重要です。例えば金銭的にはどうか?手間や時間は取られすぎないか?ストレスがかかり過ぎないかなど、良く考えて見直していきましょう。
今すぐ始められる、「夜に食べすぎない」や「糖質の多いスイーツや飲み物・果物は自分へのご褒美として」なんかも立派な『食生活の見直し』です。
急に食生活を180度入れ替えて、あれもこれも取り入れる…というのは大変ですから、簡単に自分に出来そうなところから始めてみるのも良いと思いますよ!
生活習慣や運動を取り入れてさらに効果的に
日頃何気なくやっている生活習慣のなかには、中性脂肪を上げているものもあります。例えば、喫煙は中性脂肪の原料を増やして善玉コレステロールを減らしますし、毎日の晩酌は肝臓にダメージを与えて中性脂肪を増やします。
禁煙・禁酒!とまではいかなくても、たばこの本数を減らしたり休刊日を作ってアルコールの量を減らせば、中性脂肪を下げるためにプラスに働きます。
運動を毎日の生活習慣として取り入れれば、さらに効果的です。手軽に始められる有酸素運動と言えば、やっぱり「ウォーキング」でしょうか。
ウォーキングの場合は、普段歩く歩幅より少し大股にして、腕を大きめに振って軽く息がはずむ程度で歩くと高い効果が期待出来ます。また、走っているときの姿勢は意識して背筋を伸ばして歩きましょう。いくら長くウォーキングしても背中が丸まったりなど悪い姿勢になるのなら、短時間でキレイな姿勢で行った方が良いです。
運動・食事・生活習慣いずれにしても、一番大切なのは『無理なく続けられること』です。中性脂肪を下げるために自分にピタッとくるものを探してみてくださいね!