肝臓と腎臓の炎症(鈍重肝臓)からうつ病やパニック障害に!原因や症状、食事で改善する方法

鈍重肝臓

 

鈍重肝臓ってなに?うつの原因にもなる?

 

鈍重肝臓』と言われて、すぐにどんな状態だかわかる人は少ないと思いますが、「鈍重」は動作や反応が鈍くてのろいこと…と考えると、なんだか良くないんだろうなぁーというのは想像つきますよね。


鈍重肝臓というのは正式に認定されている病名ではなく、医師の甲田光雄先生が、ある症状をもった肝臓に名付けたものです。


その症状とは『とにかく疲れやすい・根気が無い・肩や首が凝る・仕事に集中できない・本を読んでも頭に入らずすぐ忘れる・イライラして当たり散らす・何事にも悲観的・暑さにも寒さにも弱い・腹部膨満感があって便が思うようにでない』というもの。


ちょっと肝臓とは結び付きづらいですよね。どちらかというと、これだけでも「うつ病」と診断されてしまいそうな症状ばかりですが、甲田医師によると、これらの症状が半年や一年と続いている時には、肝臓が疲労している可能性があるというのです。


食べ過ぎで肝臓と腎臓が疲労

肝臓や腎臓には、生きるためになくてはならない色々な働きがありますが、多少状態が悪くなっても自覚症状がほとんど無いため「沈黙の臓器」と呼ばれています。肝臓はアルコール関係・腎臓は水分関係のイメージが強いですが、働きはそれだけではありません。


【肝臓の働き】

  • 解毒作用…アルコールやアンモニア・薬など有害なモノを無害化
  • エネルギー代謝…食事で摂った栄養をエネルギーに変える
  • エネルギー貯蔵…ブドウ糖をグリコーゲンとして貯蔵
  • 脂肪の消化吸収に必要な胆汁を作る

 

【腎臓の働き】

  • 老廃物を尿として排出
  • 尿の量で体内の水分量を一定に保つ
  • 電解質(ナトリウム・カリウム・カルシウム・リン等)の濃度や量を調整
  • 血圧調整や血液を作るホルモンを分泌
  • 血液を弱アルカリ性に保つ
  • ビタミンDを活性化

 

こうして見ると、食べたものに関係してくる働きがあるのがわかりますよね。これらの働きは、自分の胃腸が消化・吸収出来るバランスの良い食事をとっていれば問題ないですが、食べすぎや偏った食事をしていると、胃腸だけでなく肝臓や腎臓にも負担をかけて働けなくなってきます。


消費する以上に摂った糖質や脂質は、肝臓を働きづめにして肝臓に脂肪を溜めこむ原因になりますし、食べすぎでタンパク質や塩分を摂りすぎれば、腎臓はタンパク質が使われた後の老廃物やナトリウムを排出するために大忙しです。


さらに運動不足やストレスの多い生活をしている場合は、エネルギーが使われにくく胃腸も弱って働きが悪くなりますので、老廃物のかたまりである便がうまく排泄されず、宿便をためこむ結果になって、そこから出る毒素でさらに肝臓にダメージを与えます。


そうして肝臓や腎臓に疲労が蓄積していき、これが「鈍重肝臓」になる原因と言われているのです。


放っておくとうつ病の可能性も


 

うつ病を発症するメカニズムというのは、まだ詳しくは解明されていませんが、大きなストレスをきっかけにしている事が多い病気です。


うつ病になってしまうと、ほぼ一日中抑うつ状態で、疲れやすくなって活動が減り、興味や喜びが減って集中力や思考力が低下、焦りや漠然とした不安にさいなまれ、不眠や過眠に悩まされる様になります。人によっては「消えてしまいたい」という思いから、自殺を考えるようにもなってしまいます


しかもうつ病は他の不安障害と併発しやすいので、突然の動悸や息切れ・強い不安をともなう発作を起こす「パニック障害」や、人と関われなくなる「社交不安障害」・強い不安から何度も同じことを繰り返してしまう「強迫性障害」なども発症してしまう可能性があるのです。


そうなってしまうと、仕事どころか普通の日常生活をおくるのも困難になってしまいます。鈍重肝臓の辛い症状を放っておくと、それが大きなストレスになって悲観的になり、うつ病のきっかけになってしまうこともあるんです…。


更に最近では、うつ病は「幸せホルモン」と呼ばれる脳内の『セロトニン』が減る事が関係している…というのが一般的な見解になっていて、抗うつ薬では脳内のセロトニンを増やすために、再吸収を阻害する薬が多く使われていますが、体内で作られる量を増やしてくれるわけではありません


セロトニンは必須アミノ酸である「トリプトファン」を材料にして作られていますので、セロトニンが新しく作られるためには、食事でトリプトファンが含まれる食品を適量摂ることや、合成に必要なビタミン・ミネラルを摂る事、そして分解や代謝に関わる内臓が正常に働いている事が大切になってきます。


食べすぎや偏った食生活で内臓を酷使している場合には、内臓が疲労してセロトニンが上手く作られなくなってしまい、抗うつ薬を何年飲んでも根本的な改善には繋がらない…ということもありうるのです。

 

疲れ ストレス だるい鈍重肝臓は病院でもわからない?

 

鈍重肝臓というのは普通の食事をしている時には血液検査をしても異常は出ないが、7日程度断食をすると強い脱力感が現れGOTやGPT(血液検査で肝臓などの異常を判断する数値)が急上昇する」とのことですが、普通の病院で断食をして血液検査をすることはまずありません。


7日の長期断食となると、素人がやるにはあまりに危険ですし、断食のためだけに入院させてくれる病院や、断食に詳しい医師がいることはほぼ無いからです。


そうなってくると、鈍重肝臓の辛い症状で病院を受診したとしても、血液検査では異常は出ず、更にエコー検査や内視鏡などの詳しい検査をしても異常が見られなかった場合には、「特に異常はありませんでした。」と診断されてしまうのです。

 

ある病院のドクターに自分の状態を訴えて、泣いてしまったところ、「あなたは心身症です。」と言われてしまったのだそうです。自分は精神的に病んでいるのかしら、とA子さんはとても不安になり、ドクターのすすめで精神安定剤を飲み始めたのですが、いっこうに良くならない。

http://www.pot.co.jp/danjikinikki/1555.html

 

 

病院をいくつも渡り歩く人も

 

病院で血液検査や精密検査を受けて、結果「異常なし」との診断を受けたとしても、それで鈍重肝臓の辛い症状が改善されるわけではありませんから、患者さん側としては納得できませんよね?


よくテレビなどで「別の病院を受診したら大きな病気が見つかった」なんて話もやっていますし、『もしかしたら自分も?』とか『別の病院なら何か見つかるんじゃないか??』と思ってしまうのは仕方のないことです。


診断結果に納得できずに何人ものお医者さんを渡り歩く…いわゆる「ドクターショッピング」と呼ばれる状態になってしまうわけですね。



最近では、身体的に異常がないのに症状を訴えて原因を執拗に追及する状態に陥っていることを『身体表現性障害』として心的障害と位置付けていますので、うっかりすると「心身症」や「自律神経失調症」などと診断されてしまう可能性も高くなっています。

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しかし本当は鈍重肝臓で肝臓の状態が悪いのに、別の薬を処方されても良くなるはずがありません。良くならないからとどんどん強い薬が出されれば肝臓への負担は大変なものになり、更に症状は悪化…そのストレスで本当に心身症やうつ薬になってしまう…なんて笑い話にもなりませんよね。


「非アルコール性脂肪性肝炎」と呼ばれることも


非アルコール性脂肪性肝炎は通称「NASH(ナッシュ)」と呼ばれていて、肥満や糖尿病・過食・運動不足や薬などアルコール以外のものが原因の、非アルコール性脂肪肝の一部が進行したものです。


非アルコール性脂肪肝も進んで肝臓に炎症が起きると、肝細胞が壊され続けて肝硬変や肝がんに進行することがあると判ったため、近年注目されている疾患の一つです。


脂肪肝は、食べすぎや運動不足などで、活動するエネルギーよりも食事で摂ったエネルギーが多い場合、余った糖質や脂質などが中性脂肪に変わって、肝臓の30%以上中性脂肪がたまってしまった状態のことを言います。


NASHの診断は、血液検査・超音波検査で疑いが強い時に、最終的には「肝生検」という肝臓の細胞を直接採っての検査で確定します。NASHという病気がまだ認識されて新しいことと、入院が必要な肝生検をしなくては確定出来ないことから詳しい患者数は判っていませんが、100~200万人いるのではないかと推測されています。


NASHも他の肝臓疾患と同じく自覚症状の乏しい病気とされていますが、血液がドロドロになったり血流が悪くなることで、全身の細胞に栄養や酸素がいかなり、疲れやすくなる・肩が凝る・頭がボーっとする…といった状態になることがあるとのこと。


まさに鈍重肝臓の症状と一致しますよね!甲田医師も、「NASHこそ鈍重肝臓の別名である」と記しています。

 

疲れ ストレス だるい鈍重肝臓は食事から治す!うつ撃退

 

少食・断食療法に力を入れていたお医者さんがいて、その診療方法は「西式甲田療法」と呼ばれていました。名前から見てわかるとおり、西式健康法を甲田医師が改良して考案したもので、正式な医療法ではなく民間療法に入ります。


甲田療法の基本は生菜食で、生野菜や青汁・生の玄米や生玄米粉・お豆腐を1日2食の少食で続ける…というものですが、生の玄米というのは初心者にはちょっとハードルが高いですし、症状や状態の確認もないまま素人判断で極端な食事に変えるのは危険を伴います。


しかしNASHの治療方針にも「低カロリーで栄養バランスの良い食事」とあるように、鈍重肝臓の改善には食生活の見直しが欠かせません


特に今まで好きな物を好きなだけ食べていたような人や、食事を適当に済ませてしまっていた人は、無理なく続けられる範囲で食事を変えていく必要があります。

 


野菜中心の食生活に変える

 


肉料理にお刺身、白いご飯にパンにパスタにラーメンに…とお腹いっぱい食べて、野菜はちょっと添え物程度…なんて食事をしていませんか?アメリカの人のように「トマトケチャップは野菜」なんて言ってはいけませんよ。


野菜の中にはビタミンミネラル食物繊維酵素などが豊富に含まれています。それらは細胞を傷つける活性酸素から守ってくれたり、エネルギー代謝に必要だったり、腸内環境を整えたりと、健康を維持するためになくてはならない栄養素達です。


食物繊維やクロロフィル(葉緑素)には、コレステロール値を下げて血液をサラサラにする効果や余分な脂質を排出する効果もあるうえに、野菜は肉類や炭水化物よりも低カロリーですから、鈍重肝臓対策としてこれ以上の食品はありません。

 

白米よりも玄米を食べる

 

甲田医師のように生の玄米…とまではいかなくても、今まで食べていた白米を玄米にすることで、鈍重肝臓の改善には大きな効果があります。その秘密の一つは「栄養価の違い」です。

 

【玄米と白米(うるち米)の栄養価比較】

栄養素 玄米 白米(うるち米)
鉄(mg)
マグネシウム(mg)
リン(mg)
ビタミンB1(mg)
ビタミンB2(mg)
ビタミンB6(mg)
葉酸(μg)
0.6
49
130
0.16
0.02
0.21
10
0.1
7
34
0.02
0.01
0.02
3

日本食品標準成分表2015年版(七訂)参照

 

こうして見ると、玄米を白米にするために多くの栄養素まで削ぎ落としてしまっているのがわかりますよね。いつも食べているお米を玄米にすれば、少ない量でも十分の栄養が摂れるのです。


そしてもう一つの秘密は、「良く噛む」ということです。甲田医師は『食事は腹六~七分目が良い』と言っていますが、今まで早食いでお腹いっぱいまで食べていた人が、食事を腹七分にするというのはそう簡単なことではありません。


玄米は白米よりも硬く、良く噛まなければならないために、食事にかける時間が必然的に長くなります。そうすると満腹中枢が刺激されていつもより少ない量でも満足感を得る事が出来ます。

 

青汁で半日断食が効果的


 

半日断食とは、18時間食べない時間を作る断食方法の事です。1日3食食べている場合は、前の食事の消化吸収が終わらないうちに次の食事が体に入ってきてしまうので、内臓はずっと働きっぱなしになっています。


そこで、1食を青汁にして固形物を摂らないことで、胃腸や肝臓などを休ませて内臓の疲労回復をはかることが出来るのです。


特に朝食を青汁に置き換えての半日断食は、寝ている間に失われた水分を補給しつつ腸を動かすので、朝の内臓を排泄に集中させて便秘を解消し、宿便を溜めこまない体へと導く効果も期待出来ます。


夕食を置き換えた時のように「お腹が減って眠れない…」ということもないですし、間に睡眠時間が入るので取り組みやすく、体への負担も少ない断食方法です。


ただしここで注意しなければならないのは、断食をしたり少食にして食事を減らす…ということは、食べる分の食事の重要度が上がるということです。


もし半日断食をしたとして、残りの2食をファーストフードで済ませてしまっていたら体はどうなるでしょう?腹七分の少食にしても、食べる分をどこの国でどう作られたかも判らない加工食品にしたとしたら、本当に栄養は摂れているでしょうか??


食べる量が少なくなれば少なくなるほど、その質が問題になってきます。自分の体は、自分が選んだ食事で出来ている…ということを頭に置いて、未来の自分のために安心安全で丸ごと食べられるような食品をチョイスしてくださいね!

 

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